子どもの首をマッサージしたりストレッチしてはいけない理由

首ひねったり頭をそらす「ズンズン運動」背筋矯正などで乳児が死亡した事件を覚えていますか?

常識的には考えられない、普通に考えてこんな事させない、
という感想を持つと思います。

しかし、あなたがその状況なら、正しい判断をする自信がありますか?

親は切羽詰まった状況で「こうすると子どもが健康になる」と聞いたら、ワラにもすがる思いで信じてしまう。
実際、逮捕された女性のもとにはダウン症やアトピーなど何らかしら身体に悩みをかかえた子どもを持つ親が訪れていたようです。おそらくワラにもすがる思いでしょう。

大切な子どもが現代医学ではどうにもならない状況になったら、他に何かできないかと親は迷走します。
そして不安と恐怖は判断力を鈍らせ、誤った行動を起こします。
追い込まれた状況で正しい判断ってなかなか難しいですよ。

そして何よりわからない、知らない、ということは、不安と恐怖を大きくします。不安と恐怖は判断力、思考力を鈍らせます。
もしあなたが切羽詰まった状況で何の知識もなければ、衝動的に行動を起こす可能性があります。他人事ではなくなります。

それに私たちは優れた文明の中で生きているにも関わらず、子どもの体についてあまりにも無知過ぎます。おそらく大人の体を小さくしたくらいにしか考えていない人もいるでしょう。

こうなってしまった理由は簡単です。
子どもの体に関する教育が足りないのです。というか、無いです。保健体育なんかは全て大人の体をもとに考えられた学問です。(子どもが勉強するのにね)
国家資格を取る学校でも小児領域の勉強はほとんどないです。
専門家がこんな状況ですから、皆さんは知らなくて当然です。知らない、見えない不安や恐怖があるのは当然なのです。

ということで前フリが長くなりましたが、ここで一旦お知らせ。

まずは知っていただくことが大切だと思いまして、
今回は子どもの首が大人の首とどのように違うのか、を紹介します。それはもう全く別物ですよ。

大切な脊髄(せきずい)をガードしている首の骨

まず首の骨のある重要な役目を理解する必要があります。
首に限らずすべての背骨は脊髄(せきずい)を保護しています。
中枢神経は骨で保護されている
このように背骨の中に脊髄を収納しています。
脊髄は全身の神経と脳を連結させる重要な神経の束です。すべての神経は必ず脊髄を通って脳に行き、脳の指令は必ず脊髄を通って全身に行きます。

もし脊髄に傷が入ると傷のある場所より下は全部麻痺をおこし、今の高度な医療技術を施しても一生治りません。例えば腰のあたりの脊髄(腰髄)に傷が入ると下半身麻痺になります。もし首のあたりの脊髄(頚髄)に傷が入ると首から下は全て動かなくなります。つまり呼吸もできないということです。

このようにもし傷つけてしまったら大惨事になってしまう脊髄なので、硬い背骨でしっかり守られています。
だから交通事故にあっても、格闘技をやっても、骨を破壊するぐらい相当なことがない限り脊髄の損傷はめったに起こりません。

背骨ありがたやーですね!

しかし、骨が柔らかかったらどうでしょう?
そこまで大きな力が働かなくても脊髄を損傷してしまいます。

赤ちゃんの背骨は脊髄をガードする能力が弱い

結論から言うと赤ちゃんの背骨は
まだ未完成で柔らかく、脊髄を完全に保護できるわけではありません。

こちらをご覧下さい。
H2S-Vertebrae-rear-facing

出典:Rear Facing Basics

これは背骨を1個取り出して上から見た写真です。
上段が頚椎(首の骨)
中断が胸椎(背中の骨)
下段が腰椎(腰の骨)

そして、左側にあるのが全て1歳、右が全て6歳の骨です。
1歳の骨は頚椎も胸椎も腰椎も、全部割れているように見えますね。

ちょっと頚椎だけピックアップしてみましょう。
小児頚椎

これは、割れているのではなくまだつながっていないのです。
この骨の破片どうしは隙間が空いているのではなく、
小児頚2

軟骨で隙間が埋められているのです。したがってレントゲンでは骨しか映りませんから空洞に見え、割れているように見えます。
小児頚3
軟骨は骨より強度が落ちますから、外力に弱く変形しやすいのです。

つまり大人では骨である場所も、赤ちゃんではまだ軟骨なので柔らかく、脊髄を保護する能力が未熟です。
まあ言っても軟骨だってそこそこ硬いは硬いんですが、ダウン症の子では軟骨自体が通常より弱いため、さらに脊髄を守る能力が低下します。誰でもダウン症の子と接する機会はありますから、特に首周りが弱いんだという事を知っておく必要があります。

このように全ての赤ちゃんは骨自体が未熟なため、首をマッサージしたり、深く回したりすると脊髄を損傷する危険性があります。
そして脊髄はたった6mm引き伸ばされるだけで損傷する可能性があります。6mmっていうと新しいiPhoneの厚さくらいじゃないでしょうか?

でもふだんは6mmも伸びないくらい頚椎によって保護されているということなのです。
チャイルドシートが義務付けられているのも納得でしょ?

子どもの骨や筋肉はまだ作っている最中で、大人と同じだと思ってはいけません。いたるところに軟骨が混ざっていて20歳くらいでようやく大人の骨が完成します。(ちなみに鼻は35歳まで成長する)

そして骨は脳や脊髄、内臓などを守っていることを理解してください。
骨に問題が生じれば、脳、脊髄、内臓に問題が出る可能性があります。

最後に

親であれば子どものために悩む事はたくさんあるとおもいます。調べればインターネットでは様々な情報があーでもない、こーでもないと氾濫しています。(僕の書いてることも鵜呑みにしちゃダメですよ〜〜)
ある程度の知識がないととんでも無いことを信仰してしまいます。

本当に信用できるのは子どもが発する合図です。何がよくて何がダメかは実は子どもが教えてくれます。
ずんずん体操では赤ちゃんたちはずっと泣いてもがいていたようです。嫌がっていたのです。
成長して会話ができるようになれば、「痛い」といいます。明らかに嫌がります。

そして母親たちは僕たちのような専門家以上に優れた能力があります。
それは自分の子どもが何を訴えているかを理解する能力です。
僕が知っている限り「私なんかダメな親」とか言っている人でもこの能力はみんな持っています。皆さんも、ちょっと落ち込んだ時や疲れているときに元気にふるまってもお母さんに「どうしたの?」って言われたことありませんか?

尊敬する小児オステオパシー(筋骨格治療の専門家)であるシカゴ大学准教授の先生は、講義の時によくこう言ってました。
「子どもに敬意を払うべきです。」
「全ては子どもが教えてくれます。」

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プロフィール痛い→病院へGO→異常なし→でも痛いです・・・
皆さんも経験あるのではないでしょうか?
このブログではちょっとでもその不安を解消できたら、と思い僕の臨床経験、研究、勉強したことを紹介しています。困っていること、聞いてみたいことがあればお気軽にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

小松 ごろう

松本市で自由診療を行いながら、一般向け、医療関係者向けの講義も行っている。専門科目は骨盤、頭蓋骨、小児筋骨格。 ココから整体代表 / 一般社団法人 長野県ライフコンサルティング協会代表理事 / 柔道整復師 / メディカルトレーナー