子どもの脳しんとうが大問題になり米国でヘディングが禁止された件

2015年にアメリカサッカー協会がサッカーのヘディングに対しての規定を作りました。
内容は10歳以下の子どもたちへのヘディングを禁止、11〜13歳の子どもは回数制限を設けると発表。ヘディングによる空中戦はサッカーの醍醐味の一つ。サッカーファンにはちょっと残念なルールとなりました。おそらくこれを見たほとんどの人が「ヘディングごときで」と思うかもしれませんが、こうなったのは理由があります。簡単に言うと、ヘディングに何らかの対応をしないと、アメリカサッカー協会が訴えられるのです。

ヘディングに慎重な理由

ではなぜこのような事になってしまったのでしょうか?
それは脳震盪(のうしんとう)の危険性と、それによる後遺症の医学的理解が進んだ結果、頭部への衝撃が考慮されているからです。サッカーのヘディングの回数と脳損傷に関連性があるという研究結果が、放射線学の専門誌にも掲載されました。

そういえばヨーロッパのオステオパス(筋骨格専門の先生)も「サッカーとロードレースはヤバイ」みたいな事、言うのです。

そして現在のアメリカでは脳震盪の後遺症になった患者たちから各スポーツ協会(アメフト、ホッケー、サッカー)への訴訟がバシバシ起こっているのです。

脳震盪(のうしんとう)の症状

脳震盪は頭に大きな衝撃や振動がかかって起こる症状です。どのような症状かというと
☑一時的に意識がなくなる
☑一時的に記憶がなくなる
☑足元がふらつく
☑めまい感
☑気持ち悪い
☑視界が見えにくい

K-1とかボクシングで倒れた選手が起き上がれないシーンを見たことあるでしょうか?あれが脳震盪の一種です。

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スポーツの現場ではよく起こることなのですが、特に子どものスポーツ現場でよく脳震盪が発生しています。なぜ子どもが脳震盪になりやすいかというと、頭蓋骨が大人より柔らかく衝撃が脳に伝わりやすいからです。また首の筋肉がまだ発達段階であるということも関係しています。アメリカでは14〜19歳のサッカーかホッケーで脳震盪になる事が多いようです。

脳震盪になると一時、意識がとびますからビックリし、周りが動揺します。が、意識が戻ると「あ~よかった、びっくりしたよ」なんつって、そのままプレーを再開してしまうケースがあります。

しかしこれは大きなリスクがあるのです!

脳震盪後にプレーする危険性

頭に大きな衝撃があると、脳内に傷が入って出血を起こしている可能性もあります。この場合明らかな痛みを伴わないこともあり、気づきにくいのです。もし出血しているのにプレー続行すると致命傷になりかねません。

また、脳に傷がなく、出血もなかったとしましょう。意識も戻っていたとしましょう。
これならプレーを続行してもいいですよね?
→いいえ、ダメです。
もしプレーを続行して再び脳に大きな振動が入った場合、今度こそ致命傷になります。これはセカンドインパクトシンドロームと言います。脳震盪の後しばらくは症状がなくなっても回復しきれていません。しっかり回復するまでコンタクトプレーは絶対やってはいけないのです。

そういえば羽生選手がGP中国杯の練習で衝突、流血し、そのまま試合にチャレンジしたことがありました。脳の外傷を知っている人や医療関係者は誰しもがクレイジーだと思ったはずです。だって死ぬかもしれないから。
しかし本人の希望で出場させ、国内メディアでは美談として取り扱ったところを見ると、日本では脳震盪のリスクについて知られていない現場です。これを読んだ方は少なくとも危ないんだな、と思って下さい。

脳震盪、数年後に発症してくる後遺症があった

脳震盪は一時的で後遺症にはならないと言われることもありましたが、現在では状況が違います。
実は近年、脳震盪は海馬(かいば)を萎縮させることが報告されています。海馬はデリケートな部分なので衝撃で壊れやすいのです。海馬というのは記憶をストックしておくところで、特に新しい記憶をストックしています。つまり海馬に障害が出ると最近の事は忘れっぽくなり、古い記憶が残るという状態になります。

「昔のことはよく覚えていて、最近のことはすぐ忘れる」
これを聞いてドキッとした人いませんか???
(ぼくはドキっとしました。)

また脳震盪により早期認知症、うつ病および人格変化などの後遺症を残す可能性があるとされています。アメリカでは多くの訴訟が起こり、脳震盪がスポーツ現場における大問題になっています。

その他の後遺症として、臨床的に頭蓋骨への影響があります。

子どもの頭蓋骨は大人とは違い、まだ軟骨混じりで柔らかく衝撃には弱くなっています。衝撃が加わることで軟骨部分でゆがみが生じ、そのまま成長する事があります。だから子どもの耳に水が入って抜けない時にトントンしちゃダメって話を書きました。

衝撃が大きいと軟骨が一部成長しきれない事も考えられます。

つまり頭蓋骨のゆがみにつながります。
これは外見上の問題だけではありません。頭蓋骨には血管や神経を通す穴がたくさんあります。

頭蓋骨のゆがみによってその穴が狭くなったりすると通過している血管や神経は圧迫を受ける可能性があります。よって脳への血流量や神経伝達に変化が生じ、結果的に脳の成長に影響することも考えられます。

脳震盪が起きたら

脳震盪が起きたら、まずはプレーや練習を中止して脳の精密検査を受けることです。症状の程度や有る無しにかかわらずです。先ほど述べたように明らかな痛みを伴わずに出血が起こっているケースもあります。

そして脳の海馬を回復させる必要があります。有効な薬はなく、休息が必要です。
脳震盪の後、回復にどのくらい時間がかかると思いますか?約1〜3週間です。3〜4日まで脳細胞への血流は減少し、10日ほどまで完全に元の血流には戻りません。11日目から脳細胞の修復が開始されるのです。アメリカ神経学会によると、ラグビーで脳震盪になったら3週間は試合にでないよう注意喚起しています。

まとめ

もし子どもが脳震盪を起こしたら

指導者は

☑プレーや練習を即中止する
☑脳の精密検査を受ける
☑プレーや練習復帰方法は専門医の意見を聞く
☑脳震盪を起こしたことを保護者に伝える

保護者は

☑プレーや練習を即中止させる
☑脳の精密検査を受けさせる
☑受傷後24時間以内は1人にせず経過を観察
☑専門医の許可がでるまで運動させない
☑脳震盪を起こしたことを運動指導者や学校に伝える
☑症状が悪化する場合、テレビゲーム、スマホは避ける

脳震盪は症状が一時的なため、放置されがちです。数年前までは部活のラグビーで脳震盪を起こしてもヤカンの水をかけてすぐにプレー復帰し、ろくに検査も受けない事がしょっちゅうでした。医学的な解釈も変わってきて、脳震盪に対して慎重に取り扱うようになってきています。

早く気づいて、即安静が鉄則です。

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ABOUTこの記事をかいた人

小松 ごろう

ココから整体代表 / 柔道整復師 / メディカルトレーナー  フランスのカリキュラムを修了し、骨盤が関係する痛み、泌尿器、婦人科の問題に特化した施術をスタートさせた。(Nicette Sergueef;小児オステオパシーコース修了、Dr. Jérôme BAPTESTE(仏);泌尿・生殖(膀 胱、子宮、卵巣、卵管、前立腺)コース修了) また妊娠中の痛み、逆子、産後の腰痛、恥骨痛、尿漏れなど産科的な問題も研究し、長野県立こども病院では骨盤と泌尿生殖の専門家として『出産後ケア』の講習会などを行った。