他覚的にはよくなっているのに、痛みが取れない・・・
もしくは、ほんのちょっと触っただけでも過剰に痛がっている・・・
あまり「痛い」と訴えられると、施術者としてもあせってしまいますよね。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
そのヒミツは交感神経にあります。このヒミツを理解しておくと「リウマチ性疼痛」「癌性疼痛」にも非常に役立ちます。
その交感神経に関するヒミツというのは、神経のフォーカス(Neurologic lens)と言われています。
神経のフォーカス
一度何かで損傷が発生すると、周辺エリア一体の交感神経が興奮して危険を知らせます。危険のお知らせは脊髄の担当部署に届きます。この担当部署を髄節といいます。
危険だというお知らせを受け取った髄節は、痛みセンサーの感度を上げます。感度が上がったセンサーはわずかな刺激も感知するようになり痛みが発生しやすくなります。これが神経のフォーカスです。
何日か経つと、損傷は修復されていきます。通常ならここで交感神経の興奮も収まり、危険のお知らせは減っていきます。
ところが、この時に脊柱の機能障害があると1度興奮した交感神経が興奮を止めない場合があります。すると痛みを感じやすい状態が継続され、いつまでも痛みが取れなくなってしまうのです。
神経のフォーカスは収まっているか?
例えば、手首をひねって捻挫したとしましょう。すると胸髄1番レベルに交感神経亢進が起こります。交感神経が亢進していると痛みを感じやすくなっているので、手首をちょっと触っただけで痛がります。
数日して、手首の捻挫は治ったとしましょう。合併症もありません。腫れも無くなりました。
でも手首を動かすと痛い。
多くのセラピストはここで手首に何かしようと試みます。しかしこれは大方、失敗に終わります。既に治っているところに対して治療する必要はないのです。
観るべきポイントは手首ではありません。
神経のフォーカスは収まっているか?
という点です。
もしまだ神経のフォーカスが残っていれば、手首を曲げたり伸ばしたりする害の無い刺激に対しても、痛みセンサーがオーバーに反応します。
つまり、手首に痛みが残ります。
この痛みは、手首の構造的な問題では無く神経学的な問題による痛みです。
ですから、交感神経を抑制させる治療方針をたてなければいけません。そのために必要なのは、脊柱椎間関節と肋横突関節、脊柱起立筋の機能障害を取り除くことです。

これらに対するテクニックは全て、交感神経を抑制させることが立証されています。
逆にこれらの機能障害は「神経のフォーカス」の原因になりいつまでも取れない痛みとなってしまう可能性があります。
さいごに
手首を例にしましたが、腰痛、頭痛、胃痛、リウマチや癌の痛みなど、全ての痛みに神経のフォーカスはついてきます。リウマチや癌でも交感神経の抑制により痛みは軽減されるでしょう。
もし構造的な問題が見つからないにもかかわらず、痛みが収まらない時に神経のフォーカスによる痛みの可能性を考えてみてください。